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Crashlands

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 ひとまず(おそらく)ボスであるHewgodookoを倒し、別世界をぶらっとしたところで終了としたい。会話をすっ飛ばしたので全く内容は分からないが、ストーリー的にはクリアしたんじゃなかろうか。

 

 Crashlandsの全体的な感想としては、早期アクセスの初期段階のようなとんがったゲームバランスだなあ、といった印象だ。しかしこれは早期アクセス作品ではない。

 本作は見た目「Don't Starve」ライクなアクションRPGである。見下ろし型のゲームデザインもそうだが、クラフト要素や建築要素も兼ね備えており、手触りはまんまドンスタで、そこに「The Binding of Isaac」などのアートデザインを手がけたEdmund McMillen風(本人の仕事だと思うのだが、はっきりとは分からなかった)のアートワークで埋め尽くされた世界観が非常に魅力的な作品だ。

 また、ローンチ前に出されたこの記事を読んでいたなら、さらにその期待も高まっただろう。自分は購入後に「そういえば…」と気づいたクチだが、その経緯は原因不明のクラッシュでゲームが起動できずグーグル先生に助けを求めたためだ(この不具合は開発がSteamのフォーラムに回避方法を載せていたので何とかなったが、おそらく現バージョンでは修正されていると思われる)。とにかく開発者のCrashlandsにかける情熱はそれだけで称賛に値するが、ゲームの内容については…はっきり言ってあまり褒められたものじゃない。

 

 必要性の低い拠点

 Crashlandsにはいろいろな要素があるにはあるが、戦闘以外の要素に関しては飾りとしか言いようがない。クラフトはストーリーを進めるだけでなく戦闘とも絡んでくるため重要と言えなくもないが、実際のところは…後述するとして、建築に至っては本当に装飾以外の何物でもない。本作のインベントリは無限であり、アイテムを保管する場所を必要としないうえ、ドンスタでのハウンド襲来のようなイベントもないので拠点を要塞化する意味は全くない。マップは果てしなく広いが、ところどころに中継ポイントがあり、非戦闘中であればいつでも任意の中継ポイントに瞬間移動できるため、拠点を定めるという重要度もかなり低い。

 さらに言うと、寒さや飢えといったものもなく、プレイヤーが死亡する要因は戦闘くらいなため、ステータス管理としての拠点といった意味合いも霧散している。

 で、肝心の戦闘に関してだが、これはすごく面白い。操作方法は「Diablo」から続く伝統的なポイントクリック式であるが、殴り合うのではなくヒット&アウェイが基本となる戦闘となっている。そのため敵Mobが攻撃する際は赤い範囲で攻撃範囲が示される。また敵Mobの動作や攻撃方法も多彩でアクションゲームとしての面白さがしっかりとある。だが、この戦闘にこそ一番の問題が潜んでいる。

 

ストレスの溜まるゲームバランス

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敵の攻撃範囲が赤く示されている。

 

 最初の方でも「早期アクセスの初期段階のようなとんがったゲームバランス」と語ったが、特にそれを強く感じるのは戦闘においてだ。

 初プレイ時は特に何も考えずにデフォルトの難易度に設定したが、それでも死にまくった。いちいち敵Mobが強いのだ。最初の地点周辺をウロウロするザコですら2,3発ももらうとあっという間に昇天してしまう。対してこちらの攻撃は微々たるもので、10発以上は当てないといけない。要するに敵Mobがおしなべて高体力、高攻撃力を持っているということだ。しかし、それ自体はそこまで問題ではない。なぜなら防具や武器を装備することでステータスを強化していけばいいからだ。さらに敵が強力になれば、こちらも強力な装備を手に入れればいい。これはどのゲームでも見られる光景だ。ただ、そこのバランス調整が明らかにおかしいこと除けばだが。

 Crashlandsの問題は、プレイヤーのステータスの成長速度を圧倒する、敵Mobの強さのインフレにある。その時点で揃えられる最高の装備をもってしても高レベルMobの攻撃には2発耐えられるかという程度なのだ。対してこちらの攻撃は数十発は当てないと倒せなくなっている。当然、戦闘は長引く。しかもポイントクリック式の操作である。はっきり言って細かな操作には不向きだ。ミスクリックもしばしば起こる。そしてそれが致命傷となることも少なくない。

 数分かけて高レベルMobをあと数発で倒せるというとこまで追いつめても、たった1回のミスクリックで死亡してしまった時に感じるのは、虚しさと、マウスを握る右手の痛みだけだ。そこに充実感は微塵もない。

 クラフトは上位装備を作成するために必要な要素ではあるが、当のゲームバランスがコレなため上位装備を身に着けても強くなったという実感に乏しい。さらに言えば、苦労して高レベルMobを倒しても、得られるのは装備品をクラフトするための素材だったりするのだ…。

 

過疎ったネトゲをプレイするかの如し

 Crashlandsのシナリオに関して語れることはないが、ストーリーの進行はクエスト形式で行われる。それは「○○へ行け」だとか「□□を持ってこい」といった、いわゆるお使いクエストが大半を占める。クエストはメインとなるクエストとサブクエストに分かれているようで、いくつかクエストを残したままHewgodookoと決戦となった。

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エストはいつでもログが参照できる。

 

 というわけで、これまでの話を総合すると、本作は見た目はDont't Starveながらポイントクリック式の操作方法しかなかったり、雑魚でもやたらと堅く強かったり、クエストはお使いばっかりと、ひと昔のネトゲで見られる要素を含んでいる。ただネトゲで敵Mobが強く設定されているのは、それがマルチプレイを前提としているからである。シングルプレイ用のゲームである本作が、どうしてこんな設定となってしまったのか。まるで過疎りきったネトゲをひとり黙々とプレイしているような気分になってくる。

 

 決して出来の悪いゲームではないが、戦闘における極端なバランス調整や、戦闘以外のゲーム要素の必要性の薄さが、本作を底の浅いゲームへと仕上げている。これが早期アクセスゲームだったなら、最適なゲームバランスへと修正されていったかもしれないが。いや、今からでもその可能性はなくはない。と、言いたいところだが、メタスコア81でユーザーの評価も高いCrashlandsが、そんな冒険を犯すとも思えない。

 正直なところ、こんなに好評なのが不思議な作品である。