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休止中

The Darkness II

 大昔に書いた記事のサルベージ2/3。少しだけ手を加えてある。

 ヴェンデッタモードが独立した作りになっているがCo-op推奨なため未プレイ。したがって内容としては半分しか遊んでない状態である。

 

中二病患者の皆さん、お薬の時間ですよ

 そもそもこのゲームに興味を持つとしたら、その強烈な中二臭を嗅ぎつけてのことではなかろうか。少なくとも自分はそうだ。「始まりは無とダークネスしかいなかった…」というのっけから魔王度マックスなダークネスに取り憑かれた主人公ジャッキーの復讐劇となれば、もうね「沈まれッ俺の右手…!」的なものを期待しないわけがない! と、手を出したものの気が付いたら病院にぶち込まれていたでござる(Hotline Miamiに続き2週間ぶり2度目の入院でござる)。等々ネタは豊富だが、想像の斜め下が目立つ内容だった。

 

 このトレーラーは初めて見たが、詐欺だ…。

 

ジャッキーと愉快な仲間たち

 つい手が滑って変な煽りを入れてしまったが、ストーリーはすこぶるシリアスで、残酷描写は無駄に冴え渡っており、人体は縦に横にと引き裂かれる。

 前作の内容をおさらいしつつ、眠っていたダークネスの力を復活させる冒頭(因みにこの最初のレールアクションが一番死にまくった)は素晴らしく「ジャッキー無双キター!!」と浮かれたものの、敵も味方もリアクションがあっさりしていてしょんぼり。Prototypeなら恐怖のどん底に落とされた群衆どもがパニクりながら逃げまどうところなのだが…ファミリーの下っ端にまで舐められている(?)ジャッキーさんマジ哀れ。

 とはいえ実際ジャッキーさんは強い。ダークネスの触手2本とダークリングを加えたゲームプレイも複雑になりがちなところを上手くまとめていて、4本の腕を操るような感覚は中々に楽しく、上手く駆使すれば優位に立つことも難しくはない。が、それは逆説的に触手を使いこなせなければ苦戦を強いられることを意味する。

 ゲームバランスとしては間違っちゃいない判断だが、車のドアを引っこ抜いて楯にでもしないとすぐに死んでしまうジャッキーさんに「フハハハ! 効かぬ、そんな鉛玉(もの)効かぬわ!」なんて台詞は期待できそうもない。

 そして立ち位置のよく分からないダークリング。本当によく分からない存在だが(前作をプレイしていればまた違った印象を持つのかもしれない)、散々手こずらせた相手に小便を引っかけてくれたりするのは貴重な存在といえる。

 しかし戦闘中はリードを外された犬だ。どこかへ行ってしまいそのまま。と思えば、画面の端の奥の方で人を襲っていたりする。その存在感は少々薄い。ダークリングを生かしたスキルはあるもののあまり使い勝手が良いともいえず、これならばスウォームの羽虫どもの方が頼りになる。

 

そして気が付けば病院に…

 ヘッドショットを決めてもなかなか死なない、触手を多用しないと爽快感の得られない戦闘を続けていると、物語はあっさりと中盤にさしかかる。すると場面は一転し、ジャッキーさんは病室内で目を覚ます。

 どうやら中二病をこじらしたらしく、現実と妄想の区別が付かなくなりすぎて24時間看護の付いた素敵なお部屋の住人となっているようだ。病院の面々は彼のファミリーたちだ。死んだはずの恋人ジェニーも看護師としている。そのなのいいから、さっさと続きをさせろ! とせがむと「また中二病が始まったんだなジャッキー。お薬増やしとくよ」と梨の礫。

 はっきり言って茶番だ。

 中二病ホイホイなゲームにつられてやってきたやつらに「お薬どうぞ」と言ってのけるこのシーンは、このゲームにおける最大の悪趣味な場面だろう。

 とはいえこの扱いに本気で憤慨しているわけではない。良くも悪くもそこまで熱くなるゲームではないのだ。ただ最後までプレイを通してみると、やはり病院の場面は不必要に思える。場末の売春窟の無駄な懲りようは評価するが、病院の場面は深刻にリソースの無駄としか言いようがないのだ。とはいえエンディングの展開も相当こっ恥ずかしく、かつ無茶苦茶なので、むしろ病院落ちの方がキレイに纏まったのでは…などと、いろいろ考えてみたが結局のところ「病院出した時点で失敗」という結論に至るわけで、ニンともかんとも。

 

で、しずまれおれのみぎて的展開はあるの?

 すでにどうでもいい部分について盛大に語っているような気がするが、さらに蛇足を続けたい。

 まず結論から言うと、ない。

 そもそもダークネスに乗っ取られると大変なことになるらしいのだが、それがどう大変か具体的には示されていなかったように記憶している。ダークネスは精神攻撃やささやき戦術を使ってジャッキーさんに揺さぶりをかけるが、プレイヤーにとってはただのイベント消化でしかなく、こちらが能動的に抗う場面も殆どない。またダークネスも別に暴走したりしないので、原発よりも安全性は高いかと思われる。

 

ヴェンデッタモードについて

 すみません、やってません。

 前述の低リスクダークネスさんを巡る争いやら、病院やら、唐突にデレるダークリングさんやら、残念すぎる地獄やら、恥ずかしすぎるエンディングやらを経て、マイ・ハートがゲームクリアを宣言したからだ。

 

総評

 面白い要素もあるが、プレイ時間が短いわりに単調だったり(個人的に単調なプレイは嫌いじゃないが)、ザコ相手に無双を期待すると肩すかしを食らったり、どこに需要があるのかさっぱりなゲームだった。

 …と、わりと長々とボロクソ書いた気もするが、それは逆にネタが豊富であったことの証と言えるだろう。正直、書いていて楽しかった。愛すべき珍作だ。それとスチームにてプレイしたが、デフォルトで日本語字幕がついているのも良かった。