Thinking with Time Machine
Portal 2の世界観にタイムマシンというシステムをぶち込んだ意欲的なMOD作品。MODなので無料というのもうれしい。
このタイムマシンとは質量のある行動ログを生み出せる装置のことだ。これにより一人二役のプレイが可能となった。
新要素はそれだけではない。コンパニオンキューブをその場で作り上げる装置や淡く発光する壁など新オブジェクトの追加や既存オブジェクトのリファインもされており、それらが違和感なくPortal世界に溶け込んでいる。またPortal 2クリア直後から始まるどんでん返しの効いたストーリーは、本家に劣らぬ演出の高さだ。
キューブ作成中。このアニメーションは一見の価値あり。
そんなTwTMに新鮮味を感じたのは、しかしながら最初の小一時間ほど。それ以降は微妙な印象が拭えぬままあっけなく終ってしまった。ステージのボリュームはかなり少ない。
悪い意味で引っかかったのは、天井設置型のスイッチが初登場する(そして二度と出てこない)テストチェンバー5だ。天井スイッチはキューブを近づけると吸い付くようになっているのだが、この仕様はPortal的に考えても謎技術過ぎて理解するのに無駄に時間がかかった。こいつだけはパッと見はありそうなデザインながら、じわじわと違和感がこみ上げてくるタイプの装置だ。
その過程でタイムマシーンの仕様にも不満を感じる部分が目に付き出した。デバイスの見難さもかなりのものだが、タイムマシーンを扱う際にポータルがリセットされてしまう仕様は地味に計算を狂わされたし、タイムマシン側のポータルと生身側のポータルが別物として扱われることもそうだ。特に後者の仕様はポータルの枠の色が同じなだけのひとりCO-OPを意味している。そうと分かるとTwTMでやらされていることが馬鹿馬鹿しく感じられた。結局はひとりでふたり分の作業をさせられているだけなのだ、と。
ここが問題のテストチェンバーだ。
この考えを打ち破るだけの何物かを示すことなく、むしろ強化される形でエンディングを迎え不正終了にてこのMODを終えた。